ATAPIコントローラで使う電源(ACアダプタ)について


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 1. CDドライブの電流と電源容量の計算

 2. 2.5AのACアダプタの実力測定



ATAPIコントローラとCDドライブの電源について


12Vから DCDCコンバータ方式で 5V電源を作る場合の ACアダプタの電流容量は、使用するドライブによって変動します。
Mi-Takeで用意している電源の DCDCコンバータの変換効率は 80%です。 電源基板の詳細は こちら

                                                                                                                             

必要な ACアダプタの電流容量スペックを求める場合の例として 2つほど計算例を示します。

1. パイオニア DVR A15J : 5V2.1A, 12V1.4A のスペックのドライブの場合の必要な電流

  5V*2.1A = 10.5W 変換効率80%であるから 10.5W/0.8 = 13.125W
    13.125W+(12V*1.4A) = 29.925W
    29.925W/12V = 2.49375A

  すなわち、2.5Aの12V電源を要す。(またはそれ以上の電流容量のACアダプタ)

 

2. HL-DataStorage GCR-8406B : 5V0.9A, 12V1.5A のスペックのドライブの場合の必要な電流

  5V*0.9A = 4.5W 変換効率80%であるから 4.5W/0.8 = 5.625W
    5.625W+(12V*1.5A) = 23.625W
    23.625W/12V = 1.96875A

  すなわち、この場合 12V2A電源で可能。(またはそれ以上の電流容量のACアダプタ)

 

■参考:

 ・これらドライブの定格電流は常時流れる電流ではありません。モータ起動時などの電流です。
   演奏時など連続的な動作時の電流は、この定格電流の半分以下です。

 ・アダプタの電流容量(A)は、必要とされる電流容量より大きめを選ぶと「余裕ある電源」ということになります。
  但し、アダプタの電圧(V)は 指定電圧12V以外のものは使用できません。

 ・上の計算で ATAPIコントローラとLCD用の電流(97mA程度)はネグレジブルとしてます。

 ・ACアダプタは 例えば秋月の3A以上容量ですと 「M-00936」「M-00244」 等が該当します。
   (秋月のホームページで「検索キーワード」で検索)
  ACアダプタのプラグサイズは、上記の物は Mi-Takeで用意している電源基板のジャックに適合します。

 


電流の確認測定 (HL-Datastrage GCR-8406B)



   ■ ACアダプタ12Vの出力電流
   0.1Ω両端 大凡max150mV => アダプタ12Vの最大電流は、1.5A 程度



  ■ ドライブ電源 12Vの流入電流
   0.22Ω両端 大凡max190mV => ドライブの12V流入電流は、 0.86A程度


  ■ ドライブ電源 5Vの流入電流
   0.22Ω両端 大凡max280mV => ドライブの5V流入電流は、 1.27A程度




 電力を確認すると


       ・ 12Vアダプタの電力ピーク = 12V*1.5A = 18W

     ・ ドライブの流入電力ピーク = 5V*1.27A/0.8 + 0.86A*12V = 18.257W

  おおよそ、供給 = 流入 であることが確認できる。  (当然の結果ではあるが・・・確認・・・)


  ドライブのスペック上からの計算では、23.625W必要であったが実測ではその計算値を22%程 下回る結果である。
  これらの測定は ドライブを全ての条件下で電流測定したわけではないことをお断りしておく。



定格2.5AのACアダプタについて


メーカ在庫処分品として入手したACアダプタを 1ヶ月ほど使用してきたが 全く問題なく使用出来ている。
上記で、CDドライブに必要な ACアダプタの電流容量を算出したりしているが 本アダプタの電流容量表示は
2.5Aであり 不足する場合もあると考えられるのだが 実用的には何ら差し支えなく使用出来る。
ということで、実力としてどのような負荷特性を持っているのか調べてみた。
比較対象として、秋月電子で入手したACアダプタも測定する。


右の写真で、上が秋月で入手した「 12V3.8A」品、 下が放出品の 「12V2.5A」品で 1廻りほど 大きい。

試験法であるが、ACアダプタに電子負荷をつなぎ、出力特性を測定する。
また、どの程度の電流を取り出したら シャントするも確認した。

右の写真が 自作の電子負荷である。 最大5Aの電流計を付けており目安として電流値を直読できる。
この負荷装置については こちら を参照されたい。
  
12V3.8A タイプ(秋月) の負荷特性である。

  ・黄色の線:12Vの電圧特性 2V/DIV
  ・赤色の線:負荷電流特性  1A/DIV
    ・X軸(時間軸)方向は手動で負荷電流を変えている(電子負荷装置を操作)

電圧の安定度は余り良くない (12.1V=>11.8V) ものの なんと、5Aまで耐えている。 
それ以上の電流で出力電圧が がくっと落ち始め 電流も 6.5A程度で制限がかかる。
さらに画面以上の負荷電流を取り出した場合(約7A)、出力は遮断される。



3A程度までの CDドライブ用電源としては、余裕ありすぎ といった感もある。
電流制限特性は、比較的ゆるい設計になっているようだ。 
主装置に過電流が流れる不都合が発生した場合でも、連続的に電力が供給されてしまう可能性がある。

12V2.5A タイプ(放出品) の負荷特性である。

  ・黄色の線:12Vの電圧特性 2V/DIV
  ・赤色の線:負荷電流特性  1A/DIV
    ・X軸(時間軸)方向は手動で負荷電流を変えている(電子負荷装置を操作)

オーバーロード時の特性が 上の秋月アダプタとは 全く異なることが分かる。
3.2Aまでは電圧も安定しており、それ以上で徐々に電圧か下がりはじめ 3.5A程の負荷電流で
「λ型」 の制御が かかる。  



3A程度までの CDドライブは 充分安定して働くことが想定できる。
電流制限特性は、厳密に制御されており主装置に不都合が発生した場合には 即座に電源が遮断される。

ATAPIコントローラで使う CDドライブのように 起動時やモータ駆動時等といった時のパルシブな消費電流を必要とする機器が負荷となる場合は、
定格 2.5A のACアダプタでも 充分実用として使用出来ることが確認された。





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