本ページでは PCM1792/1796 系ソフトモードDAC 中心です。 DAC のメニューは こちら です


 ソフトモードで
DAC をつかう   PCM1792/1796 編
BurrBrownのDACには、DAC自体のスペックが同じで、動作モードの制御をハード(ジャンパ等で設定)で行うものと、ソフト(マイコンで設定)するものが存在します。 PCM1794に対して1792、PCM798に対して1796があります。
Mi-Takeではハードモードで動作する 1794/1798のDACは、CS8416/DAI とセットで提供中ですが、ソフトモードのPCM1792/1796については、簡単な実験経過をご報告しただけで対応していませんでした。

ソフトモードに対応することによる 「ハードモードとの違い・メリット」 としては、

  1. 音量調整が0.5dB step で可能 (Digital Attenuation: 0 dB to 120 dB, 0.5 dB/Step)
  2. DSD対応が可能 (DSD Format Interface Available)


の2点ぐらいです。 残念ながらDSDフォーマットの信号源が手軽に使用できない現状では、メリットはボリュームコントロールのみとなりますが、つかってみるとこれが以外と使い勝手が宜しい。  0.5dBステップ/-120dBの範囲をギャングエラー無しで手軽に調整できるのだ。 (Mi-Takeで提供しているBH3532をつかった電子VRもあるのだが)

  DSDフォーマット:
SACD等でつかわれ始めた、サンプリング周波数 2.824MHz 量子化分解能は1bitであり、情報量はCDの4倍程度得られる。 しかし、DSDデジタル信号をそのまま出力する機器は民生用では殆ど無い。 一般には、HDMIのインターフェース信号の中で映像信号などとコンポジットで出力され、且つ、著作権保護も付け加えられるため、ユーザがDSDデータを取り出すことは困難

ということで、音量調整付きだと DACをケースに入れた際、単品DACとしての使い勝手が増す事が期待できる。
デジタルATTは、ビット落ちが発生するので音質が・・・・・ と危惧もするのだが、メインソース信号である音楽CDの量子化ビット数は16bitであり PCM179xシリーズのDACは24bitなので、内部演算処理すれば、上位 8bit分の音量調整分ではbit落ちさせない事が可能なはずで、BurrBrownはきっとそうしている と勝手に思い込んでいる (但しこの思い込みには、なんの根拠もありませんので悪しからず)

さて、電子VRの操作手段(インターフェース)としては、マイコンで制御する都合上、「ロータリーエンコーダ」をつかう方法と「可変抵抗器/ボリューム」をつかう方法とがあります。 前述のBH3532をつかった電子ボリュームでは、ロータリーエンコーダをつかいました。 この方式の欠点は、つかっていた位置が電源を切ると忘れてしまうことです。補助的に、マイコンのeePROMに記憶させてはいますが、機械的な位置で音量を記憶する可変抵抗器方式には、使い勝ってで遅れをとります。

そこで今回は、可変抵抗器/ボリュームを使用した制御方法としました。 使用するマイコンは、ADCを内蔵しているAVRの中から、Tiny461を選択しました。 Timy2313と同じ20pinタイプのAVRマイコンで 4KROM/256RAMを搭載しています。 ADC内蔵のため、電源系が2系統になることから、I/Oポート数がTiny2313より減少してしまいますので多少工夫が必要かもしれません。 (既に、ロータリーエンコーダを用いた試験は完了してます。 こちら )


ついでといってはなんですが、DAIの基板も CS8416搭載タイプに加えて DIR9001を使用した基板を平行して設計を行います。 このDAIチップは ラジ技2007/*? に TIの紹介記事が載っており 「ジッタが小さいゾ」 と豪語している記事を読み、いたく興味がそそられたものですが、 CS8416に比べると
  1. デジタル入力が TTLレベル  (CS8416は SPDIFレベル〜)
  2. デジタル入力が 1系統のみ  (CS8416はハードモードでも4入力切り替え可能)
  3. クリスタル(24.756MHz).が必要。 (無くても良いが)(CS8416は無しがデフォルト)

という点で、つかいにくさが目立ったため採用が後回しになっていました。 今回、PCM1792/1796を本腰をいれて検討開始するにあたり、DAIも BurrBrownのDIR9001版を合わせて検討することとしました。




左から、DIR9001、PCM1796、CS8416、Tiny461 の各チップ
DIR9001は、DACチップよりさらに一回り小さくなります







DIR9001 と PCM1796 実験基板









   ■  上記の実験結果に基づき 設計したPCM1792/1796基板です

基板の配置は、・・・・
左上基板:
DC-DCインバータ基板(±12V、+5V)
右上基板:
DIR9001 DAI基板
左下基板:
SPI ソフトモード制御基板
右下基板:
PCM1796ソフトモード DAC基板





この4枚の基板と、ACアダプタがあれば音量調整付きDAC完成です。
とてもシンプルなので、ケース組込も容易になると考えています。


ACアダプタは、+16V1Aを使用しています。 
15V〜18V位が使用出来ます



電源基板は、spiceコーナ を参照下さい




PCM1792 x2 の Mono mode の動作確認を開始


PCM1792基板 2枚と 平衡(差動)・シングル変換基板




ZoomUP






LCD表示の例

上段 左:-0.0dB〜-120.0dBのATT値、 右:Stereo/mono*2
下段 左:PCM/DSD、  中央:64fs/128fs、 右:I2S24/std24


Volume の値表示は、当初 ステップ(255〜0)で表示していましたが
ATT値を -0.5dBステップで直接表示するよう 表示を変更しました

上の例では、
VR位置 左一杯 (最大減衰量 -120.0dB位置) の場合です





仮組ボードの状態で、 基板間を結線した様子


仮組のため、ケーブルは少し長めです。
基板の配置は下記の通り
VR LCD 差動バッファ
基板
Tiny461制御基板 PCM1792基板(Lch)
DIR9001基板 PCM1792基板(Rch)
この基板セットは、既にユーザ様に納品されご好評頂いております。


 

     

 ・ DIR9001 DAI  詳細


基本的に回路定数等はデータシートに従いますので DIR9001周りのことは特記事項は無いのですが、クリスタルは無くても動作するようジャンパーで選択できるようにします。 また、クリスタルは、発振器をつかう場合と発振子が使い分けできるようなパターンに対応しておき、入手できるクリスタルに臨機応変に対応します。

問題は、デジタル入力レベルの確保です。 SPDIF入力が一般的ですから、TTLの"H"レベルである 2.0Vを確保しなければなりませんので、前置アンプを置くこととします。 DIR9001のデジタル入力端子はシュミットトリガ回路で構成されてますので、入力側は4倍ほど増幅すればOKです。 無駄にTTLを入れる必要はありません。 検討の結果 ベース接地1段のアンプを採用しました。 この回路についての詳細は、spiceコーナのトランジスタ回路編で紹介していますのでそちらを参照ください。


                            DIR9001/DAI 総合回路図
   


■ 主な仕様

  ・入力レベル : SPDIF 又は TTL レベル (ジャンパにて切換。 切換SW用端子付き)
  ・対応サンプリング周波数 : 28KHz〜108KHz
  ・出力PCM : RightJustyfi、I2S (ジャンパにて切換)
  ・電源電圧 : +5V
  ・基板サイズ : system72準拠 (72o x 47o)




DIR9001 基板完成例 (クリスタル付き)



当初 クリスタルの有無によって、固定モードで動作させる予定だったが
クリスタルモードで 固定すると、data line が Mute となるため
Auto Mode 動作に変更。 ( => 修正ジャンパーを要す)



 

・ PCM1792/1796 ソフトモード 制御基板 の詳細


制御につかうマイコンは、AVRのTiny461を使用します。
20pinタイプですが、ADC内蔵で、そこそこのI/Oポートが確保出来るのが採用の理由です。
Mega8系は、28pinですからちょっとパッケージが大きすぎます。

ADCは10ビット分解能11チャンネルありますが、1チャンネルあれば十分ですから他は、制御用のポートとして使用します。 毎度のことですがAVRを制御につかう場合、デバグの為にもLCDを接続できるようにします。 動作の確認には表示系があればとても便利です。 LCDが不要な場合は、ジャンパ設定用にでもポートを流用しましょう。

また、コントローラ基板は PCM1792/1796の制御だけでなく ADC機能を流用して 温度計や電圧計にも流用出来る用に考慮します。 音量調整用の可変抵抗器は、B型のものが良いと思われますがこれは実際に使ってみて選べばよいと思います。 ADCのリファレンスをVcc+5Vでつかえば、可変抵抗器でも+5Vの電圧を調整してADC端子に入れれば、よい事になります。 PCM1792/1796の音量調整コマンドは 255〜0までの可変範囲ですから可変抵抗器で入力された電圧に応じて、コマンドを生成します。

今回の制御では、左右のバランス機能は省略しています。 そこまでの要求レベルがある用途には電子VR基板を使いましょう。


PCM1792/1796のモード設定用ジャンパーは、LCDを使う場合 4ビット分しか残りがありませんので切り替えるモードの優先順序付けが必要になります。

  基本的には
   1.mono-stereo切換
   2.Lch/Rch切換
   3.I2S/Ritjustyfi切換
   4.64fs/128fs切換 (又は、PCM/DSD切換)


が、制御対象の候補です。



                            Tiny461 コントローラ回路
    





                                                     制御基板の完成例

                                    



                          LCDを接続して表示した例

               



・ PCM1792/1796 DAC の詳細


既に発表している、PCM1794/1798ハードモード系のDAC回路と基本的には変わりません。
制御のための、ジャンパー設定用にあったポートが、ソフト制御用の接続ポートに変わるくらいです。

IV変換回路等もそのまま使用しますので、PCM1792は、IV変換用にOPA2604、PCM1796はNE5532を使用予定です。
なお、PCM1792/1796は制御回路を接続しないでも使用可能です。 制御無しのデフォルト使用した場合、 入力のPCMフォーマットは、I2Sモード となりますので、ハードモードのPCM1794/1798をI2Sで使用する場合と同じように使えます。 (音量調整は、デフォルトでは -0dB設定です)

但し、モノラル設定等はソフトで制御しないと変更できません。


ということで、モード制御のコマンドについては、下記の内容で使います。

  先のコントローラの項で述べた通り
   1. mono-stereo切換
   2..I2S/Ritjustyfi(std)切換
   3. 64fs/128fs切換
   4. PCM/DSD切換


 の 切換としました。

 Lch/Rch切換は、mono mode 時 DAC基板側のジャンパー設定で変更すれば、Rch側基板にのみ
  Rch 動作モード設定が書き込まれます。




                    PCM1792/1796 DAC回路
   

なお、今回の基板設計では アナログ用±15Vの電源ラインの電解コンデンサは組込時の部品高さを低くしたいとの要望もあり、 16V1000uFから 25V33uF Muse に変更しました。




                      PCM1796 を使用した DAC基板例

                  







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