ミューティング基板 unit

以前の Muting基板の記事は こちら  
Combo384関連記事は こちら と こちら
使用するリレーが通常タイプとなります こちら

 V3.0 新・Muting基板

信号切替時の ”プチッ” 音にも 対応出来るように Muting基板を新規設計しました。
発端は Combo384を使った DACで 再生ファイルを 「 DSD ⇔ PCM 」 切替すると ”プチ” が出るためです。  日常的には小音量でしか聴かないので、我慢出来ないレベルではないのですが、気にしだすと 「 何とかならないのか ・ ・ ・ 」 と 思うのが人の常、です。      Combo384関連記事は こちら

これまでの Muting基板は、電源 on-off時の ポップノイズ対策が メインでしたので リレーを使っています。 リレー方式は 電源 on時のノイズ対策は 完璧なのですが、信号切替時等に使うには メカ(機械的)の応答速度が問題になるので、トランジスタ等による電子式で対応するのが 一番です。 トランジスタを使う場合には、そのトランジスタの選定に ポイントがあります。 トランジスタの選択については こちら をご覧下さい。


   リレーにも種類があり、リードリレーを使うと応答性が良いようですが、構造的に 1a タイプが主流となるようですので 今回は見送りました。 リードリレーについては 信号切替(セレクタ)で使えそうなので、別途検討予定です


さて、今回のmuting回路は [ リレー式 + トランジスタ式 ] のいいとこ取り回路としました。 リレー部の回路は前回の回路を世襲しています。 信号ラインをリレー接点でオープンにしませんので muting動作によるノイズにも配慮しています。

TRによるmutingでは、バイアスを ±15V程度かけて信号ラインのダイナミックレンジを確保します。 PCM1794等の高出力な DACを使った場合でも、6.4Vp(4.5Vrms)ですので 十分余裕があります。 muting用TRの駆動回路は下図のような構成になっています。 バイアスをかけますので、VEBO 25Vの 2SC2878 を採用しました。 TO92型の muting用 トランジスタです。


                  参考回路 : 信号 Muting 部抜粋
         





 「新・Muting基板の主な特徴」

 ・ リレー式 トランジスタ式を併用して、最適な muting 効果を狙っています
 ・ 外部信号(パルス立上りエッジ)で muting TR を オンできます。
   Combo384等の muting端子をつなぐことでファイル切替時等のノイズが小さくできます。
 ・ 電源オン時の muting時間は、0〜9秒の設定が可能です。
   時間の調整は、半固定VRで行い、設定値は 7segLEDで表示されます。
 ・ 外部増設リレー端子付き。 パワーアンプ出力用等、容量の大きいリレーを追加可能です。
 ・ 基板の動作には、±15Vと+5V の電源が必要です。
 ・ 基板サイズは system72 準拠 です

 ・ 電源オフ検出のためのAC入力端子つき。 トランス2次側のACからタイミングを検出します。
   オフ検出の考え方については こちら を参照ください

     
   本基板の設定は AC 3波分の欠落(60mS) で muting が働きます。
              
 黄: AC50Hz、 赤: リレー駆動

 ACを接続する場合、 間違えて他の端子に接続するとマイコン IC
が 破壊しますので
接続端子を間違えないよう ご注意ください。
 






                      参考: Muting基板完成例
          



  2021年以降リレーが変更になりました
これまで、ラッチ型リレーを使用してきましたが都合により 通常のリレーに変更になりました。 (動作等は変更ありません) 
 

                      参考: Muting基板リレー変更タイプ例
          



                     参考: Muting基板 接続端子
        



                           参考: 全体回路図
     
                                                                クリックで拡大








  基板の組合せ例
MDFボードに 「電源」「Muting」 「DAC制御」 「DAC基板」 と Combo384基板 を載せた例です。 muiting基板として 独立していますので DAC基板に muting用の トランジスタ回路が無いタイプの DAC基板でも 組合せが可能です。  
 

           



  実際の動作の様子。
電源トランスとUSBケーブルをつないで、Foobar2000で、DSD音楽ファイルを再生中です。 ファイルを PCM ⇔ DSD と再生中に切り替えても 切替のイズが小さくなり 気にならなくなりました。

切替時の muting時間は、ジャンパーによって 150mSと400mSに切替可能です。 デフォルトでは 150mSとしています。
 

    




  Combo384基板の Muting端子
Combo384の muting信号は、下図の通り PinNo.11から出ていますので PinNo.13 の GNDとあわせて、muting基板の CN612 に接続します。 
 

                 





 
    ここから以前(旧)の基板
   V1.0〜V2.0 Muting基板
 
AC半波整流のパルスで 電源off 時の 
タイミング改善・改造 記事 は こちら 

電源基板に AC駆動分を組み込んだ  
連携基板セットについては こちら から
 

種々の機能を増加し、いろいろ楽しめるようにシステムアップを進めていくと 電源on-off時のノイズが気になってきたりします。 いろいろな要素からノイズが発生し、対策は容易ではありません。

そこで、信号ラインの最終ポイント(メインアンプ入力部)で、ミューティングをかけると比較的簡単に ポップ音対策が可能です。 メインアンプ出力 = スピーカラインには不用意に切換SWは入れたくありませんので、メインアンプで発生するノイズには目をつむることとします。

ラッチリレーという、電流を流した時 接点が切換わり電流を切っても位置を保持するという 「うまい話」のリレーがあります。前々からこれは何かに使えそうだと目を付けていたのですが、今回のテーマであるミューティング用など まさにうってつけの用途と思われます。 なにせ、電源onするときとoffするとき以外、電流を流さなくて良いのですから。 そもそもミューティングなどという 非生産的な( = 音楽再生には何ら貢献しない の意) 回路の電流は削減したいもんです。

ということで、ラッチリレー式 手軽に使えるミューティングユニットを、設計・制作しました。

<主な使用部品>
 ・制御用マイコン:AT Tiny2313 Atmel製8bit RISCマイコン FROM2KB/SRAM128B  最大クロック20MHz  動作電圧 5V
   =>クロック/内部発振8MHz リセット電圧/4.3V 開発環境/AVR studio+WinAVR ライター/AVRISP-MK2
 ・ラッチリレー :RAL-3WK 富士通TAKANEZAWA製 2回路2接点 金張り銀パラジューム接点 信号用
   =>コンデンサの充放電特性を使って駆動します。 詳細は開発ノート参照
 ・時間設定SW:ロータリーディップSW 10ポジション
   =>電源on時のミューティング解除時間を設定します。 マイコンでソフト的にタイマー時間を作ります。 7SegLEDにSW位置表示します。

<主な仕様>

 ・電源on時ミューティング時間: 0、1、2、3、5、7、10、15、20、30 秒に設定可能
 ・電源offタイミング       : 電源電圧 4.3Vでマイコンリセットしミューティングon
 ・ミューティング切換回路   : 信号ラインを330Ω経由でアースに接地。 解除時は、330Ωはパス。
 ・使用リレー          : ラッチ式切換型 信号用 金張り銀パラジューム接点 
 ・電源              : 5V  日圧 EH-2P コネクタベース使用。
 ・基板サイズ          : 外形/72o×47o 取付孔/各辺から-3oの位置
 ・基板材質           : ガラスエポキシ FR-4材 片面パターン 両面レジスト印刷
 ・信号入出力端子       : ヘッダーピン 4Pタイプ
 ・補助端子           :マイコンポート 3ポート、Vcc、GND各端子 ヘッダーピン 5Pタイプ


ミューティング基板です。
マイコン、リレー、切換SW等が搭載されています。




現行基板(Nov, 2012)は こちらです



取扱の詳細は、取扱説明書を参照願います。


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開発ノート (参考)
(本内容は、別荘ページで先行掲載している内容のリメイク版です)
  ミューティング回路を検討していたのだが、電源ON中ずっと無駄に電流を流しつづけるリレー方式に抵抗を感じていた。  かといって、TRによるC-E間ショートタイプでは独立回路としてはあまり作る意味がない。ということで、以前から存在が気になっていたラッチリレーを   採用することにした。 
  ラッチリレーは、1コイル型と2コイル型があり、ON-OFF時のみ 瞬間的(数mS)なパルスで駆動できるというものである。  今回は、1コイル型のラッチリレーを使う予定である。 1コイル型は、ON-OFFの駆動パルスの極性を逆にしないといけないのだが、電解コンデンサの  「チャージ」「ディスチャージ」 で逆転駆動することが可能である。   (参考:オムロン プリント基板用リレー共通の注意事項 より )

 今回使用するラッチリレーは、富士通TAKAMIZAWA製のRAシリーズで、信号切替用である。 その特徴の1つとして
  ●高接触信頼性、長寿命/接触信頼性に優れた金張り銀パラジュームを採用した双子接点型で長寿命
 という謳い文句に心が動く。 

 RAシリーズには動作電圧によって種々モデルがあるが、5Vパルスで駆動するので感動電圧2.1Vの 「RAL-3WK」 とした。


 今回採用する リレーの参考仕様。
 
2021年以降通常のリレー(ラッチ型在庫なし)となります。 動作等は変更ありません。


ラッチリレー回路基礎実験
  

 ラッチリレーでミューティング回路を設計するに当たり、電源立ち上がりと立ち下がりによるチャージ/ディスチャージ方式で
 どの程度のパルスエネルギーが得られるかを基礎実験する。

 この実験は、駆動回路のみブレッドボードで仮組みして行った。充放電用コンデンサは100uFと200uFで行った。

      

上の波形は、電解コンデンサが 100uF(左) と 200uF(右) の時充放電電流を確認したモノである。
回路の定数は、負荷として単純抵抗で100Ω 1個としている。

 =>ラッチリレーの駆動パルスとしては、スペックとして6mS以上あればOKなので、100uFでは少し不足する可能性があるが 200uFなら駆動可能であることが確認された。 => 実際の回路ではもう少し余裕をとって、330uF程度が望ましい。

 <注記>
 上の波形は、電源の立ち上がり/立ち下がり特性で波形が大きく影響されるため、実験用電源(+5V)はコネクタの抜き差しによる ディレー無し on-off 波形で観察した結果である。

 実際の電源による波形の確認
 これが、現在使っている(system72電源)の立ち上がり/立ち下がりである。特に立ち下がりが「だらだら」特性で リレー駆動用の ディスチャージ特性に悪影響を与えている。
    

 これが、電源SW(大元)による、ラッチリレーの駆動波形である。 立ち上がりの少し波高値は 「まあま」使えそうだが
 立ち下がりは、ほとんど期待できない波形である。 (コンデンサは100uF)

  

 < 基礎実験結論 >
 コンデンサの充放電によるパルスのエネルギー的には、ラッチリレーを駆動出来そうであるが、
 電源の立ち上がり/立ち下がり特性が大きく影響する。tiny2313による 駆動如何で
 成否が決まりそうである。



 ATtiny2313による設計と確認

  基板完成例
  

 基礎実験当初では、基準電圧を471で作って電源電圧を監視する予定だったが、tiny2313には電源監視機能があり
 このBrown out Detect機能を使えば、コンパレター不要となる。 7SegLEDを1個のせ、タイマー切換 SWのポジション表示 も載せた。 (ロータリーDIPの表示は極めて小さく見えにくい)

 さて、問題のリレー駆動波形である。 
 チャージのコンデンサは、330uFであるが 波高値で2.1V以上で 幅は6mS以上確保できているので
 駆動電力はクリアできている。(下の写真はリレー両端の波形)

  


 制御ソフトについて
 ソフトはいつも通り、C言語で記述。 ポイントは:

 1.タイマーの時間精度は特に問題ならないので、組込マクロによるループカウンタを
    内部発信クロック8MHz 1/8分周で使っている。
 2.7SegLEDは、Muting 中は減算点滅し0秒になったところで、Muting offし7SegLEDも消灯する。
 3.ロータリーDIPによるMutingu 設定時は、早めの点滅(3秒間)で設定値を表示。
   10ポジションのSWを使ったので、設定値は、int TT[]={0,1,2,3,5,7,10,15,20,30,0xff}; としている。
 4.Brown out検出で電源offについてはソフト不要。

  完了!!


 完了した回路図

 ミューティングは、330Ωを介してグランドに落とすようにし、直接出力ショートはしない。 これは、信号ラインによっては
 ラインアンプの信号ラインに保護抵抗がなく直接オペアンプの出力端が出ているケースも考えられるために330Ωを経由している。
 しかし、Muting off時 330Ωが直列に残るのはいやなので、myuting off 時はこの330Ωをショートしているので影響はない。

    

  裏技
 信号ラインを直接ショートしてもかまわない回路の場合、outputコネクタを信号ラインに 「ぶら下げる」 だけでミューティングは実現する。
  ( 信号回路のアースは、ミューティング基板内では グランドに接続されていませんので 平衡型の [ hot - cold ] 間ショートにも ご使用可能です)


 今回使った TAKANEZAWAのリレーは信号ライン用でありパワーリレーのように接点電流を流さず使った場合の、接点被膜
 形成による接触不良発生の可能性は低く抑えられる。 (接点は金張り銀パラジューム)

 全体回路を下に示す。
 ポートが余っているので、将来的に外部との連携もあるかもしれないので、4つほど端子として取り出せるようにしている。
 特に、PD2はINT0端子なので、連動Mutingを追加しやすい (但しソフト的にはまだ何も入っていない)

       





ACパルスカウントによる電源OFF時の高速化について
上記内容での電源off 時の Muting のタイミングは、電源電圧が4.3Vまで降下したタイミングでMute動作します。
電源容量などシステム構成によっては、muting on するタイミングがばらつくので、対応を検討しました。
簡単な外付け回路で、安定したタイミング(約80mS)で ミューティングが onするようになります。

パルスカウント方式の詳細は こちら からどうぞ
また、電源基板type-STD2と連携させた例は こちら





 


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