LME49600パワーアンプ化計画 LME49600 出力トランスをつなぐ |
LME49600はヘッドホンアンプとして使用されるケースが多いと思うのだが、高能率のスピーカを使用しているなら パワーアンプとしての使用も十分考えられる。 しかし出力電流制限が 0.25A となっているため 8Ωのスピーカを直接駆動したのではパワーが得られない。 ■ 8Ω直接駆動時の理論値出力電力 = I * I * RL / √2 = 0.25*0.25*8/1.414 = 0.35 Wrms 負荷インピーダンスを最適値にすれば もっと電力は取り出せるはずである。 電源電圧を±15Vとした場合の最適負荷を求めてみる。 LME49600は 電源電圧ロス4V程度見込まれるので(specSheetより) ■ 最適負荷インピーダンス = (Vcc-4) / Imax = 11 / 0.25 = 44 Ω つまり、44Ω:8Ωの出力トランスがあれば ■ 電源±15V時の理論値出力電力 = (Vcc-4) * (Vcc-4) / 44 / √2 = 1.95Wrms 1.95Wもの出力が得られそうである。これはトランスの電力ロス等は含まれないが 1W位は得られそうである。 使えそうな出力トランスは、山水のST-62 が手元にあったので早速これを使って確認してみる。 1次と2次の組合せを計算してみると使えそうなのが、1次センターと2次4Ωの組合せで、この時1次インピーダンスは60Ω相当になる。 ■ 理論値出力電力 = (Vcc-4) * (Vcc-4) / 60 / √2 = 1.43Wrms さらに出力トランスのロスを 1.0dB程度見込むとすると ■ 理論値出力電力 = 1.43 / 1.259 = 1.14Wrms 結論として、system72で 標準として使っている電源系を使って、LME49600をパワーアンプにすれば 【1W/8Ω】 は 得られそうである。この時の電源電流は0.3A peak程度見込まれるのでトランス容量の確認が必要である。 1Wといえば真空管アンプでいうと 6BM8-Sクラスの出力であり 十分実用的な出力ではある。 しかし、このような使い方をした場合、LM46900の発熱が気がかりとなるが LME49600は、Thermal shutdownが 内蔵されており ジャンクションが150℃を超えると出力段を遮断するので 壊れることはない。 温度が150℃以下になれば復帰する。 また、1Wクラスのアンプで音楽を聴く場合、平均出力 3-10mW 程度(0.1V〜0.3V/8Ω)であると想定されるが、エージングも含めたヒアリングを8時間ほど行ったが、プロテクションがかかることはなかった。(但し、基板はopen air 環境である) 温度上昇が気になる場合は、クールスタッフを添付する程度で十分かもしれない(そのうち クールスタッフを使っての効果確認をしてみたいと思う) 測定の結果、以下の特性・性能が得られ 実用となるパワーアンプとして成立することが確認できた。 LME49600基板 + ST-62 + 電源基板 (写真はミュティング基板とUSB I/F基板も写っているが測定時は off ) LM49600+ST62組合せにおける出力の実測値である。(1次インピーダンスは計算値) 0dB = 0.775V/8Ω の周波数特性 PP用トランスに直流電流を全く流さずに使用するためコアサイズの割りには低域が伸びる。 高域も素直に減衰していく。 -3dB帯域 10(20)Hz-100kHz ! ! 1KHzの入出力特性 :出力電圧 対 歪み (W/LPF fc = 80KHz) <総括> ・オープンループでトランスを使った割りには、F特 歪み特性とも良い結果である。 高域特性では f特乱れもなく素直である。 ・トランス 「60Ω:8Ω」 が入ることによって、トータルゲインは 8.75dB程落ちるのでゲイン補正が必要な場合もあると思われる。 <回路図> ◆ トータルNFBについて追記 ・トランスを含むトータルNFBを掛ける場合は、その分局部NFBを減らしておき(R703,704で調整) トータルゲインを合わせます。 トランスは 位相ズレが大きいため、トータルNFB量は、6-8dB程度に押さえた方が無難です。 トランスの2次側よりNFB端子に帰還を掛けます。 |
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ヒアリング スルーレート2000V/μVを誇る LME49600にとって、スピーカを駆動するのは本来的な使い方ではないだろうが 6畳程度の部屋で音楽を鑑賞するには十分な出力(音量)が得られる。 音質的にはトランスが入る事によって柔らかさが増したように感じられるここち良いサウンドである。 出力も 約3倍得られるので Dレンジの広い音楽ソースでも安心である。 |
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