ミューティング回路について
ミューティング回路を検討していたのだが、電源ON中ずっと無駄に電流を流しつづけるリレー方式に抵抗を感じていた。
かといって、TRによるC-E間ショートタイプでは独立回路としてはあまり作る意味がない。ということで、以前から存在が
気になっていたラッチリレーを採用することにした。
ラッチリレーは、1コイル型と2コイル型があり、ON-OFF時のみ 瞬間的(数mS)なパルスで駆動できるというものである。
今回は、1コイル型のラッチリレーを使う予定である。 1コイル型は、ON-OFFの駆動パルスの極性を逆にしないといけない
のだが、電解コンデンサの 「チャージ」「ディスチャージ」 で逆転駆動することが可能である。
(参考:オムロン プリント基板用リレー共通の注意事項 より )
今回使用するラッチリレーは、富士通TAKANEZAWA製のRAシリーズで、信号切替用である。 その特徴の1つとして
●高接触信頼性、長寿命/接触信頼性に優れた金張り銀パラジュームを採用した双子接点型で長寿命
という謳い文句に心が動く。 ちなみにこの商品は、2010年3月が最終出荷予定であり欲しい人は入手を急がれたい。
RAシリーズには動作電圧によって種々モデルがあるが、5V電源で駆動したいので感動電圧2.1Vの 「RAL-3WK」 とした。
基礎実験は こちら
tiny2313による制御(完成)は こちら
ラッチリレー回路基礎実験
ラッチリレーでミューティング回路を設計するに当たり、電源立ち上がりと立ち下がりによるチャージ/ディスチャージ方式で
どの程度のパルスエネルギーが得られるかを基礎実験する。
この実験は、駆動回路のみブレッドボードで仮組みして行った。充放電用コンデンサは100uFと200uFで行った。
上の波形は、電解コンデンサが 100uF(左) と 200uF(右) の時充放電電流を確認したモノである。
回路の定数は、負荷として単純抵抗で100Ω 1個としている。
=>ラッチリレーの駆動パルスとしては、スペックとして6mS以上あればOKなので、100uFでは少し不足する可能性があるが
200uFなら駆動可能であることが確認された。 => 実際の回路ではもう少し余裕をとって、330uF程度が望ましい。
<注記>
上の波形は、電源の立ち上がり/立ち下がり特性で波形が大きく影響されるため、実験用電源(+5V)はコネクタの抜き差しによる
ディレー無し on-off 波形で観察した結果である。
実際の電源による波形の確認
これが、現在使っている(7247電源)の立ち上がり/立ち下がりである。特に立ち下がりが「だらだら」特性で リレー駆動用の
ディスチャージ特性に悪影響を与えている。
これが、電源SW(大元)による、ラッチリレーの駆動波形である。 立ち上がりの少し波高値は 「まあま」使えそうだが
立ち下がりは、ほとんど期待できない波形である。 (コンデンサは100uF)
< 基礎実験結論 >
コンデンサの充放電によるパルスのエネルギー的には、ラッチリレーを駆動出来そうであるが、
電源の立ち上がり/立ち下がり特性が大きく影響するため、本番の tiny2321による 駆動如何で
成否が決まりそうである。
今回採用する リレーの参考仕様。
基礎実験結果に基づき、基板を作成しtiny2313による実際の制御と回路の詰めを行った。
基板は例によって、LBP出力したパターン原稿をアイロンプリントして、エッチング処理し作成する。
完成基板がこれ。 表にレジスト塗料を塗ったので何となく ・・・ 完成基板ぽいところが Good.
基礎実験当初では、基準電圧をTL431で作って電源電圧を監視する予定だったが、tiny2313には電源監視機能があり
このBrown out Detect機能を使えば、コンパレター不要となることに気づき急遽変更した。基板上に「空き地」が出来たので
7SegLEDを1個のせ、タイマー切換SWのポジション表示とすることにした。(ロータリーDIPの表示は極めて小さく見えにくい)
さて、問題のリレー駆動波形である。
立ち下がり時(off時)に波形の乱れが気になるためリレー両端にC0.1u + R10Ω のスナバを入れてある。
波形乱れ改善は完全ではないのだが、リレーの動作には影響ない。
チャージのコンデンサは、330uFであるが 波高値で2.1V以上の幅は6mS以上確保できているので
駆動電力はクリアできている。 (下の写真はリレー両端の波形)
制御ソフトについて
ソフトはいつも通り、C言語で記述。 ポイントは:
1. タイマーの時間精度は特に問題ならないので、組込マクロによるループカウンタを内部発信クロック8MHz 1/8分周で使っている。
2. 7SegLEDは、Muting 中は減算点滅し0秒になったところで、Muting offし7SegLEDも消灯する。
3. ロータリーDIPによるMutingu 設定時は、早めの点滅(3秒間)で設定値を表示。
10ポジションのSWを使ったので、設定値は、int TT[]={0,1,2,3,5,7,10,15,20,30,0xff}; としている。
4. Brown out検出で電源off についてはソフト不要。
ということで あっさりとビルドが通った。
完了!!
完了した回路図
ミューティングは、330Ωを介してグランドに落とすようにし、直接出力ショートはしない。 これは、信号ラインによっては
ラインアンプの信号ラインに保護抵抗がなく直接オペアンプの出力端が出ているケースも考えられるために330Ωを経由している。
しかし、Muting off時 330Ωが直列に残るのはいやなので、myuting off 時はこの330Ωをショートしているので影響はない。
今回使った TAKANEZAWAのリレーは信号ライン用でありパワーリレーのように接点電流を流さず使った場合の、接点被膜
形成による接触不良発生の可能性は低く抑えられる。 (接点は金張り銀パラジューム)
全体回路を下に示す。
ポートが余っているので、将来的に外部との連携もあるかもしれないので、4つほど端子として取り出せるようにしている。
特に、PD2はINT0端子なので、連動Mutingを追加しやすい (但しソフト的にはまだ何も入っていない)
goto TOP
(c) 2009. Mi-Take/t.minobe