電流帰還型 ヘッドフォンアンプ TPA6120A2 シングルタイプ
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比較的大きな出力/音圧で使うスピーカ駆動系のケーブルは、電流容量が大きく導体の抵抗率も低いのを選びます。 太いケーブルで多少硬くてもあまり問題にはなりませんので選択の余地はずいぶんと広いです。
一方、身体に装着する ヘッドフォンやイヤフォンなどでは、装着感を考慮して柔らかく 細いケーブルが使われる傾向にあります。 良く使われる素材にリッツ線という特殊な線材があります。
電力電送するにはあまりも細いこのリッツ線は半田付け性も悪く、経験があるオーディオマニアの方ならこのケーブルに不信感を持ったに違いありません。
こんな純正ケーブルを良しとしない面々は リケーブルと称し 電気的諸特性を重視したケーブルに変えたりしていますが、「太い・硬い・重い・醜い・邪魔」
と人生の苦労を一身に背負ったような改造になりかねません。
そこで このヘッドフォン等のケーブルが無視できるようなアンプは出来ないのだろうか、というのが今回の 「ヘッドフォンアンプ」 を 考えるきっかけでした。 現在発売中の LME49600 を使った ヘッドフォンアンプ(こちら)は、低インピーダンスでヘッドフォンを駆動しようという いわゆる 「電圧駆動型」 です。 巷では電流駆動型の方が音にメリハリが出て良い音になる、との話し・感想があります。 しかし、ヘッドフォンやスピーカー等を商品開発する際、特性測定・音質評価で使用されるアンプは、「電圧駆動型」によるもの(と思っている)なので、 当然ユーザが使うべきアンプもこの「電圧駆動型」であるべきだ と考えています。 (LME49600ヘッドフォンアンプのインピーダンスについては こちら) 電流駆動型の方が良いという言い分として: ・ヘッドフォンやスピーカのインピーダンスは周波数によって変化し 一定では無い。 ・従って電圧駆動型では ヘッドフォンに与える電力が周波数によって異なる。 ・特にインピーダンスの上昇する低域や高域で不利である という論点です。 しかし、先にも述べたとおり ヘッドフォンやスピーカーの商品開発時点で 電圧駆動型アンプを使用して 設計・評価され 「その特性で最適化された商品」であるということを忘れてはならない、と思うのです。
具体的な回路イメージを LTSpiceを使って実験/検証してみます。 シミュレーション回路例 |
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さて、一方で 勘違いしやすい アンプ形式に 「電流帰還型オペアンプ 」 があります。 電流駆動型と、どのように違うのか 少し確認してみたいと思います。 電流帰還型オペアンプのブロック図 ( 詳細を勉強したい方は 続・トランジスタ回路の設計/CQ出版を
電流帰還型オペアンプは 結果的には電圧駆動型と電流帰還型の中間のような動作である事が確認されました。 高域特性が素直なため 電流帰還型オペアンプは
高速用途に向くようですので、今回のヘッドフォンアンプの素材は 電流帰還型オペアンプ で行ってみたいと思います。シリーズに抵抗を入れるため、ケーブルの影響は受けにくくなると思われますので、初めに考えていた ケーブルの影響を受けないアンプ
というコンセプトにもマッチしそうです。 |
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電流帰還型アンプの素材 一例 左:TPA6120A2/電流帰還IC 右:SATRI-IC |
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今回は、電流帰還型アンプICの定番 TPA6120A2 を使う予定です。 TPA6120A2の Data sheet には、バランス駆動型(かつてBTLとも呼んでいた)
の回路例も載ってますが、まずは シングル ・ バランス動型の 2通りで考えてみます。 電流帰還型アンプは、一般的なオペアンプとは異なる 以下の特徴があるようです。 ・入力部が エミッタ共通となった、いわゆる差動入力ではない ・(-)側入力インピーダンスが低く、(+)入力は比較的高く 対称でない つまり、オーディオシステム全体を見渡して設計する場合、その一部であるヘッドフォンアンプの入力端子は TPA6120A2 直だしでもかまわないでしょうが、前段に何が来るか分からない 「ヘッドフォンアンプ基板単品」 としては、バッファアンプを噛ませるのが必須の条件といえるでしょう。 ということで、オペアンプによるポストアンプ経由で、TPA6120A2につなぎます。 このポストアンプで、反転・非反転を選択できるようにしてありますので、片側のみ反転増幅させれば バランス駆動型にも対応可能となります。 今回の回路では、TPA6120A2の動作は反転増幅に固定し ポストアンプ側で切替可能としています。
今年のテーマ 「お手軽に」 という 前提で基板を作りたいので、まず基板は、IC 1個 載せシングル駆動型で進めたいと思います。 とはいえ 2枚使えば バランス駆動型にも構成できるよう考慮しています。 < gotoTop > |
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TPA6120A2 ファーストインプレッション |
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基板が上がってきました REX Audio用炭素皮膜抵抗 1/4W 使用 TPA6120A2版 と LME49600版 オペアンプはどちらも OPA2604 早速 聴いてみましょう。 ヘッドフォンは MDR-F1 です ------------- ■□ TPA6120A2 ファーストインプレッション □■ ----------
・ ・ 今回の試聴CD [七色シンフォニー/コアラモード] 横浜発・新人グループ お薦め→こちら 18933
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バランスタイプの音も確認したいので、バランス対応のヘッドフォンを作りましょう。 オープン型のお手軽モデルとして、ゼンハイザー PX95 が手元にありましたので リ・ケーブル挑戦です。 MMCXコネクタを各種揃用意して、改造に使えそうなものを選びながらやってみました。 改造用の各種パーツの方が 元のPX95より高かったりしますが。 改造前の Sennheiser PX95 (バラした所) |
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実測データです。 出力端に シリーズ抵抗が入っているため、シングルとバランスタイプの出力差があまり出ない様です。動作的には BTLと同じなので、出力パワーは 4倍位になるのですが。 その辺が電流帰還型の特徴と言えそうです。 測定条件 : 電源 ±15V (type-STD2 使用)
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バランス化について: ポストアンプで反転/非反転の設定をするのですが、反転型の場合の入力インピーダンスを少し高めにしておかないと使いにくいようです。 当初案では、1KΩ/2KΩとする予定でしたが 600Ω出しの プリアンプでも影響が出ないよう、10倍程度の入力インピーダンスを持たせることとしました。 手に入りやすい E24系列で 600Ωの10倍程度で 且つ、ちょうど 2倍の値も得られる抵抗値というと 7.5KΩ となりますので、今回の ポストアンプの帰還抵抗(NF抵抗)は、7.5KΩ/15KΩとしました。 バランスタイプに改造する場合は、コールド側とする 「Rch側の帰還抵抗」 を 一本変更する必要があります。 これは反転/非反転で Gainが変わるので 揃えるために行います。 シングル型 ブロック図 ( 基板1枚で Lch/Rchドライブ ) クリックで拡大 バランス型 ブロック図 ( 基板2枚で Lch/Rchそれぞれドライブ ) ・半田ジャンパを2カ所変更し、Rch側を反転増幅にします ・反転増幅側のゲイン調整用抵抗を変更(7.5k⇒15k))します クリックで拡大 この基板を2枚使用して、バランス型(に改造した)ヘッドフォンを 駆動しますと LME49600H.P.A. とは一味違う音楽テイストが楽しめます 注)上記回路をみて理解出来なかった方は改造は避けた方が無難です ・基板の改造については 自己責任でお願い致します。 ・改造 = 改良であることを保証するものではありません。 ・バランス型で出力端子をアース接続する事はお避け下さい。 ◆ 基板の改造ポイント参考は こちら ◆ バランスで入力する場合は、グランドに注意 こちら in coming ! |
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・ ・ 1枚基板でバランスタイプ 追記)
TPA6120A2 Twin |
TPA6120を 「1枚の基板に2個載せ」 バランス動の Twin バージョン 遅ればせながら 新登場。 バランス型ヘッドフォン駆動は もちろんですが、 高速・広帯域を活かしたバランス型ラインアンプにも ベストマッチします。 ブロック図 出荷時は、アンバランス入力となっています。下のアンプが 反転増幅回路となっておりTPA3120をバランス駆動します。 半田ジャンパーでバランス入力側に切り替え可能です。 その場合 下側のオペアンプは 非反転増幅となります。 こちらの基板の場合、バランス・アンバランスの 切り替え時、抵抗の定数変更は不要です。 アンバランス入力とバランス入力を切替可能 出荷時は、アンバランス入力となっています。 説明書は こちら #20です ポスト・オペアンプは NE5532 採用し Good C/P にて提供予定
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◆ 基板の改造ポイント参考は こちら ◆ バランスで入力する場合は、グランドに注意 こちら |
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